墓地の鑑定評価

墓地

こんにちは、不動産鑑定士の吉田です。今日は、墓地の鑑定評価についてお話ししたいと思います。墓地は、一般的な不動産とは違って、市場性が低く、取引事例も少ない特殊な物件です。そんな墓地の鑑定評価は、どのように行われるのでしょうか?

墓地には、寺院墓地、公園墓地、集落共有墓地、個人墓地などがありますが、その中でも寺院墓地と公園墓地は、永代使用権という形で分譲されることが多いです。永代使用権とは、底地の所有権は寺院や公園管理者にあるものの、一定の区画を永久に使用することができる権利です。集落共有墓地や個人墓地は、完全所有権で分譲されることが多いです。完全所有権とは、底地も含めて自分のものになる権利です。

墓地の価値の考え方

墓地完全所有権価格=永代使用権価格+墓地底地価格が成立すると考えられます。墓地分譲においては、販売墓所に当たる部分が、「永代使用権価格」、そして永代使用権を取得して、管理費を払っている場合、管理費のうち土地所有者に帰属する純収益を還元利回りで還元して求めた土地部分が「墓地底地価格」になります。

公園墓地を開発する場合は、素地購入代金、造成工事費、施設建設費、販売費、地元対策費等の原価を基準とします。この場合、永代使用権の対象となっている墓所部分のみに価値が帰属するものではなく、通路、緑地、施設地、駐車場等の共用施設敷地にも宅地における私道と同様に復帰価格が考えられるので、墓所部分の永代使用権によって制限される程度を考慮して評価されなければなりません。

また、市場性のない墓地といえども、その価格は一般の土地価格体系の中で位置づけられるものであると考えられます。一般の土地の属する地域の中にあるならば、近隣地域及び周辺の価格水準の中に価格が存するものと考えられます。

従って墓地の価格は、近隣地域の他の一般の土地と最有効使用が異なり、墓地であるが故の特性を有するため、これらの差異に相応しい価格となるべきものと考えられます。

鑑定評価手法について

原価法の適用に当たっては、対象不動産の存する近隣地域に公園墓地の開発を想定し、素地価格に造成工事費及び近隣対策費等の現在価値を加算して求めた再調達原価から墓地分譲に基づく販売総額の現在価値を控除した墓所以外に帰属する部分の価格を求めます。そして、この価格から対象不動産と同種別の用途に帰属する価格を求めて、対象不動産の積算価格を試算します。なお、墓地の販売は長期におよぶため、販売期間に対応した販売額の現在価値を求めます。

取引事例比較法の適用に当たっては、墓所以外の墓地自体の取引がほとんどないため、近隣地域及び周辺の宅地の価格水準から個別格差修正を行って対象不動産の比準価格を試算します。

以上が、墓地の鑑定評価の基本的な方法です。しかし、実際にはさまざまな要因が影響するため、一概に言えません。例えば、立地条件や環境条件、供給需要関係や社会風俗などが考慮されます。また、埋蔵済みの墓地や未埋蔵の墓地では評価方法も異なります。埋蔵済みの墓地は市場性がほとんどなく、原則的に収用される場合以外では評価されません。

最後に、墓地の鑑定評価は非常に難しい分野です。不動産鑑定評価基準にも明確な規定がなく、鑑定士の判断や経験が大きく影響します。また、墓地は特殊な用途であり、権利者の価値意識や感情も考慮しなければなりません。墓地の鑑定評価を依頼する際には、専門的な知識と実績のある鑑定士に相談することをおすすめします。

それでは、今日はこの辺で失礼します。次回もお楽しみに!

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