池の鑑定評価

池と鑑定評価

こんにちは、不動産鑑定士の吉田です。先日、池が含まれている自建の鑑定評価を行いました。地目は「池沼」です。庭園の池のようなものです。広さは1,000㎡程度。どうやって池部分の鑑定評価を行うか迷いました。そこで今日は、池の鑑定評価についてお話ししたいと思います。

池とは、水が溜まった場所で、自然にできたものもあれば、人工的に作られたものもあります。池は、農業用水や景観、生態系などに役立っていますが、不動産としての価値はどうなるのでしょうか?

池の鑑定評価は、一般的には、宅地への転換可能性を考慮して行われます。つまり、池を埋め立てて宅地にする場合の費用や利益を見積もって、その差額を池の価値とする方法です。この方法では、池の面積や形状、水質や水量、周辺の土地利用や地価などが重要な要素となります。

しかし、宅地への転換可能性が低い場合や、池そのものに特別な価値がある場合は、別の方法で鑑定評価する必要があります。例えば、池が農業用水として利用されている場合は、その水利権の価値を評価する方法があります。また、池が景観や生態系に貢献している場合は、その公益性や環境価値を評価する方法があります。これらの方法では、池の機能や役割、需要や供給などが重要な要素となります。

では、実際には時間や資料の制約がある中で、私の経験からどのように鑑定評価を行えるのかをお話ししましょう。

数十年前、私がまだ不動産鑑定士補の頃、池のみの鑑定評価を行った経験があります。当時は養殖池を想定して、養殖魚の販売による売上高から売上原価、販売費用及び一般管理費などを差し引いた純収益を還元利回りで試算して、収益価格を求めました。

今回のケースでは、土地には宅地と池が混在していました。池に関する取引事例があれば、比準価格を算出できるのですが、県内の事例は数件しか存在せず、それも相当過去の事例です。それらを基に標準化補正及び地域要因の比較を行おうとしても、過去の事例は変更され池の現状は分からないなど、具体的な当時の地域性や個別性を把握することが難しい状況でした。

そこで、当時の取引価格と宅地の価格を比較し、個別格差修正率を算出することで、宅地に対する池の価値を特定することができました。取引時の宅地価格は、全国地価マップなどを利用して周辺の標準的な宅地価格を推定することができます。この結果、池の価格は宅地価格に対して約5%から約20%の範囲で算出されました。最終的には、対象不動産の池との関係を考慮して、池の価格を確定することができました。

池と鑑定評価は、一概には言えない複雑な問題です。不動産鑑定士としては、依頼者の目的や状況に応じて、適切な方法を選択し、合理的な根拠を示すことが求められます。

以上、池と鑑定評価についてでした。

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