こんにちは。不動産鑑定士の吉田です。本日は三重県内に所在する某小学校グランドの学校用地の鑑定評価です。公共団体から依頼です。
この学校用地は、民間個人から借りている土地です。この個人からの買収で、更地評価です。
鑑定評価手法は、取引事例比較法と収益還元法です。ここで悩ましいのが学校用地ということです。
学校用地は普通の土地と違い、学校施設用の土地の利用に制限されることです。この利用制限を無視することはできません。また、この学校用地は周辺の土地の標準的な面積より広いため、規模格差も必要となってきます。従って、個別格差修正は、利用制限と規模になります。
まず、利用制限についてです。周辺の普通の土地と比べ、この利用制限により価格に影響するのか判断しなければなりません。鑑定士が感覚でこの影響を▲30%や▲50%と勝手に判断することは無謀です。では、どのように判断するのか。学校用地の取引事例があれば一番良いのですが、なかなかありません。一つの判断方法として、利用制限されている土地の取引事例より判断することになります。この利用制限されている土地の取引として、ガス基地、電波塔地、バス回転場、公園等が希に取引されています。これら利用制限されている土地価格と周辺の標準的な土地価格を比較して格差率を求めます。標準的な土地に比べ概ね▲30%~▲70%になりました。また、この学校用地は賃貸されている土地であるため、この学校用地の賃料利回り(標準的な土地価格に対して)と周辺土地の期待利回りをも求め、この比較で用途制限にかかる格差率を求めることも試みましたが結果はほほ同一利回りが求められました。
次に、規模格差ですが、こちらは経験上だいたいの規模格差の判断は付きますが、接面根拠を示すために、多数の取引事例(不動産取引価格情報を利用)から回帰分析を行って規模格差を求めました。だいたい感覚とおりの結果が出ました。
取引事例比較法はこれらの個別格差を考慮して比準価格を試算しました。
収益還元法は、実際の賃料から求められた純賃料を還元利回りで還元して収益価格を試算しました。先で求めた賃料利回り、周辺土地の期待利回りとほほ同一水準であったため、実際の賃料は標準的な土地の賃料水準と同等と判断されるため、収益価格においても比準価格で考慮した個別格差修正率を採用して比準価格との整合性をとりました。
鑑定評価額は、比準価格を重視して決定しました。